T1200R−HF

   ブランド名   Toaki
   製造元     東海楽器製造(株)
   製造年     1979年?
   販売価格    定価120,000円

 さて、今回は私が高校生の時にはまりまくったBanjo(バンジョー)です。
 いつ頃、入手したかは・・・覚えがありません?
 このバンジョーは、国産バンジョーの中でも「名器」と讃えられているバンジョーです。

 Tokai T1200R−HFです。

 Tは、東海・・・1200は価格
 Rは、・・・? 残念ですが覚えていません。
 HFは、・・・指板のインレイ・パターンです。
 インレイ・パターンは、一番人気の
 「ハーツ&フラワー」です。
 
 何てったって、神様アール・スクラッグスと
 同じ模様ですから・・・ハイ!

 他に、FE「フライング・イーグル」と
 WE「リース」が有りました。
 このモデルを作る時に参考にしたOldの
 バンジョーは、「リース」パターンでした。
 ヘッドは、「フラット・ヘッド」です
  フランジは、勿論1ピースです。

  当時の国産(海外も?)バンジョーは、2ピース・フラ
 ンジが主流でしたが、東海楽器は戦前のフラット・
 ヘッドモデルの代名詞である1ピース・フランジを
 採用していました。
  テールピースは、オリジナルではなく、本物の「プレス
 ト」を使っています。

  東海製の「プレスト・タイプ」のテールピースは、テン
 ション調節が出来て非常に良く出来ていたのですが、
 本物の方がブリッジにテンションを掛け易かったので、
 付け替えています。
 ネックとリゾネーターは、マホガニー製です。

 ですから、ギブソンのモデルで言うと、「RB−3」
 に、なりますか?

  この楽器にも少し面白い所が、あるのです。

 それは、「リゾネーター」(裏の、おぼんみたいなやつ)
 が、通常の物より浅いのです。

  何故だかは、判りません?
  試作品だったのか?
 ネックは、極初期モデルのようです!
 極初期モデルの特徴は、ペグ・ヘッドの
 ツキ板が、メープル材の黒染めである事
 そして、5弦用のペグ(糸巻き)の後ろ側が
 「5弦カポ」を付け易いように平らな部分が
 有る事なのです。
 量産が始まってから直ぐに、ペグ・ヘッドの
 ツキ板はプラスティックに変更されました。
 「5弦カポ」用の平らな部分も、後の生産品
 には無くなってしまって、普通に丸く作られて
 います。
 3,4弦のペグ(糸巻き)は、「キース・チューナー」を、
 付けています。残念ながら?カスガ製ですが・・・

 ペグヘッドの付け根のボリュート部分(補強)には、
 「スクラッグス・カポ」を挟んでおくことが出来る
 はずなのですが・・・残念ながら挟めないのです。
 「東海のバンジョーは良く出来てるんやけど、
 そこだけはコピーしきれてへんねん!」と、日本
 のバンジョー弾きの第一人者である『渡辺(井上)
 三郎』さんに言われた事を、覚えております。
 非常に良いバンジョーです。
 当時の国産バンジョーの中では、
 群を抜いていましたね!
 今でも、「ヤフーオークション」などにたまに出て
 来ますが・・・定価よりも高い値段が付く事が
 ありますね?

 このバンジョーは、本当に画期的な製品でした!
 まず、・・・戦前の「オリジナル・フラットヘッド」に、プレーヤーやメーカーの意識を
 向けさせたこと。
 当時の国産メーカーは、バンジョーの本家本元のメーカー「ギブソン」のコピーが
 主流でした。しかし、当時(1970年代)のギブソンは、今現在では非常に評価が
 低い「悪かった時期」とされています。その当時のコピーではなく、それよりも遥かに
 良い製品を生み出していた時代(戦前、1930年台)に、東海楽器は着目していた
 のです。そして、非常に良く研究していました。例えば、一番重要な部品の一つの
 「トーンリング」は、どの様な材質を使っているのかを、HONDA(本田技研朝霧研 
 究所)で成分分析をしてもらったぐらいです。
  その様な努力の結果として生まれてきたバンジョーですので、悪いはずが
 ありません。当然の事として、一世を風靡する存在になりました。
  有名プレーヤーでも、このバンジョーを使っている方が多いです。
 トム・アダムスは、アルバム録音にも使っていました。日本のバンジョープレーヤーの
 第一人者の一人である、『宮本 有』さんも屋外ステージの時は良く持って来られます。
以前は、良く一緒に演奏していました。
  そして、この製品は結果として、本家本元である「ギブソン」や「マーティン」を戦前
 のモデルに対して目を向けさせることになった、と私は思っています。


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