ライディングフォーム 1 


 さて今回は、バイクの「ライディングフォーム」です。

 これは・・・・本当に奥が深い問題なのです??
何故なのか?・・それは、バイクと言う乗り物が・・・全てにおいて「バランスの乗り物」だからです!
しかも、非常〜に微妙なバランスの乗り物だからです!
 まず、4枚の画像を見てみてください。

 さて、どれが「良いフォーム」でしょうか?

 私の感覚では・・・左上です!

私は常々バイクのバランスは、タイヤの接地点と重心位置の三角形だと思っています。
 緑の三角形はバイク単体が持っているバランスです。そして、赤の三角形はライダーが乗った場合のバランスです。この二つの三角形をその時の状況に応じた位置関係にしてやれば、バイクはバランス良く動いてくれるのです。この時、腰から下はシートとステップの位置関係から、極端には動かせないので上半身の姿勢が重要になってくるのです!
 黄色い線が、上半身の動きです。
上下に動かし易いのが解りますか?
この姿勢は・・・一見非常に良い姿勢のように見えるのですが・・・実は、背筋が伸び過ぎなのです。
 これでは、バイクとライダーのバランス位置が離れすぎます。
 そして、背筋が伸び過ぎると背骨が逆に反ってしまい、上半身を上下に動かし難いのが解りますね!
 バイクに乗らない指導員が、良く教えたがる「正しい運転姿勢」ですね?
これは、原付などの「小さいバイク」に乗り慣れている人がよくやるライディングフォームです。小さいバイクは前後輪の間隔(ホイルベース)が短いので、あまりに姿勢良く乗ると重心位置が上がり過ぎて不安定になるので、知らず知らずに、低い姿勢になり易いのです。
 しかし、これを大きなバイクでやると座る位置が後ろ過ぎて、腕が伸びきってハンドルを抑え込んでしまいます。また、腰が寝てしまっているので、正しく上半身が使えません。体のバランスは「腰から」が基本です。これは決定的な欠点になります。
逆に前に行き過ぎると、こんな感じになります。体格の小さい「女の子」や、極端に怖がる気持ちが出ると、こんな感じになります。
 これでは、まったく体の動きが使えないのが解りますでしょうか?全てにおいて柔軟な動きが妨げられてしまいます。

 バイクは基本的には、バイク単体でのバランスポイントを持っています。

 それを、ライダーが自分自身のバランスポイントを動かす事によって、バイクに動きのきっかけを与える事によって操縦するのです。しかし、その動きは本当に小さな動きでコントロールするものなのです。ですから、柔軟に体を使える「普通の姿勢」が非常に重要なのです!

 ここで・・・私の貴重な体験を・・・私は教習業務の中の「高齢者講習」も担当しているのですが、その講習資格を取る為に茨城県の『安全運転中央研修所』へ研修に行った時のことです。
 研修の中で「受講者の観察」という項目があったのですが・・・パイロンを使って連続進路変換(スラローム)を観察するのだったのですが・・・バイクは125ccのビジネスバイクで、足回りなんかはヘロヘロのバイクでした。それを2人の教官が走るのを観察したのですが・・・その時、我々研修生は40人近くいたのですが、全国の教習所から来ているベテランばかりでしたが、バイクに乗ることも研修の中であるので現役のバイク指導員もたくさんいましたが、資格は持っているが普段はバイクにはまったく乗らない指導員(大ベテランで教習所内では、大御所の方達でした!)も結構いました。
 そして、観察が終わって意見交換の時に面白い結果が出たのです!

 結果は、ハッキリと意見が2つに分かれたのです!

 私を含めて、「現役のバイクに乗ってる派」は、最初の画像の様な自然に乗っている方の指導員の乗り方が良いとしたのですが・・・「バイクには乗らない派」の大御所達は、2番目の画像の様に背筋をピンと伸ばした姿勢の方が絶対に正しい乗り方であるとして引かなかったのです!

 結果は・・・どちらが正解と言う事はなかったのですが?(まっ、あたりまえか?)

 背筋をピンと伸ばして乗っていた教官は、「東京の運転免許試験場」から来ていた、現役の試験官でした。
 そしてもう1人の教官は(私を含めた「現役のバイクに乗ってる派」が支持した方)・・・交通機動隊の現役の『白バイ』隊員でした。しかも、「白バイ競技会」の日本チャンピオンでした!!!

 これらの事から、何がわかるか?

 正しい運転姿勢とは・・・(そんなものがあるのか?)・・・私の考えでは、バイクの動きに順応出来て、また、積極的にそれを使える様な状態で乗る事が出来る姿勢と考えます!その為には・・・

 力を入れ過ぎてはいけません!力が入り過ぎると、素早く細かい動きが出来ません。
人間の体は常に、体全体を細かく動かす事によってバランスを取っています。
 人間の体は、首を完全に固定すると・・・立つ事が出来なくなるって知っています?
私は経験上・・・知っています。(バイクで吹っ飛んで、鎖骨骨折で両肩をギブスで固定された時・・・自分自身ででは、まったく起きれませんでした!)

 ただし、細かいバランスを取る動きは・・・基本的には、意識してするものでもないのです。(勿論、意識的にする時もありますが・・・)意識してする様な、単純な動きではないのです。非常に複雑で細かい動きを、実際にはやっているのです。

 しかし、心配する必要はありません。二本足で立てる人で、自転車に乗れる人は必ず出来ます。
体が勝手にバランスを取ってくれます。その動きを邪魔しないように、バイクの上に自然に乗っておくだけにするべきなのです。

 武道で言うところの『自然体』が、バイクでも最も重要なのです!


 でも、これが・・・いろんな動きの中では・・・・(次回)

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