Roderich Paedold

  このヴァイオリン(あえてヴァイオリンと言います)は、私が最初に購入した
 高級?楽器であり、私に重要な問いかけをしたヴァイオリンと言えます。
 

 Roderich Paedold 1986年製?

  ドイツ製

  この楽器にはラベルは有りません。

 神戸の某楽器店(商)の売り出し前の
 試作品を、コネで「原価」で購入させて
 いただいた楽器です。

  市場へ出たら、50万円は下らないと
 思われます。
 
 さすがにドイツ製です。
 
 非常にしっかりと作られています。 
 ストラドヴァリ・スタイル?
 それとも、ガルネリ・スタイル? 
 非常に良い材料を使っています!
 ドイツ製らしい?

 スクロール(渦巻き)です。
 横からの形も良いですね。
 表板のアーチは、「ロー・アーチ」ですね。
 各部の作り込みは、非常に丁寧
 です。
 さすがに、試作品です。
 (試作品が悪ければ、市場には
  出て来れませんからね?)
 「トマスティーク」の、アジャスタブル・
 テールピースを付けています。

  私にとってのFiddleのイメージなの
 です。ですから、以前は自分のメイン楽器
 には、必ず装着していました。

  Fiddlerの主張です。
 「ネック上がり」の修理をしていますが、
 仕上げをしていません。

 ま〜ええ加減な?
 音は・・・非常に良い音です。

 しっかりとした、落ち着いた音で
 鳴ってくれます。

 非常に良いのですが・・・

 非常に良い楽器なのですが・・・私の好みではなかったのです。

 勿論、購入すると決めた時は何本かの中から選んで決めました。
 この楽器が良いと思って、気に入ったから購入したのですが・・・
 何カ月が弾いているうちに・・・「何か違うな?自分のイメージする音と・・・」
 と、言う感情が芽生えてきたのです。
  しかし、購入する時に有る程度、高額な金額を払っているので、
 「それじゃ〜もう一本」とは、簡単には行かないわけで・・・

  これが、私にとって「重要な問いかけ」だったのです。

  楽器の購入は、特に「初めての楽器の購入」の時は、非常に興奮(舞い上がった)
 した状態になり易いのです。その時は、「最高!」と思っても・・・時間が経つと
 「あれ〜?」てな事になり易いのです。(結婚と同じ?) そう思っても・・・
 「簡単には、別れられないし・・・」(今は、簡単に別れる?)となってしまい、嫌々・・・
 何となく、そのままで過ごしてしまう・・・。こうなると、弾く事(生活すること)が、楽しく
 なくなってしまいます。それじゃ〜何の為の「音楽」?となります。

  こんな経験から、私は他の人(特に初心者)が、楽器購入を考えておられる時は、
 「最初から高額な楽器は、考えた方が良いかも?」と、アドバイスします。
 特に初心者(学生さんは特に)は、とりあえず『安くて良い音がする古い楽器』を勧め
 ます。今まで学生さんに何本もFiddleを、提供してきましたが・・・どれも、その様な
 考えの元に選んできました。
  そして、「ある程度の経験を重ねて自分自身の弾き方や、好みがわかってきたら、
 もっと高額な良い楽器を探せば良いのでは?」とアドバイスしています。その時、新しく
 購入した楽器の「サブ楽器」として、そのまま持っておける楽器を提供するのが私の
 楽しみなのです。
  ですから、私のFiddle販売のスタンスは、「古くて良い音がする、そして将来的に
 メイン楽器としても、サブ楽器としても持っておけるような楽器」を提供することです!

  この様な考えを持つきっかけとなる、「問いかけ」をしてくれたヴァイオリンです。

もどる