フラット・マンドリンの塗装の塗り替え

  20年近く以前に、自分のフラット・マンドリン(KASUGA KM1000)の
 塗装を塗り替えた時の画像が出て来ましたので、紹介いたします。
 

 まずは、塗装全体を回転式の「サンダー」
 などを使って荒削りして行きます。

  マンドリンは、小さくて表面積が狭いので
 この様な回転式の方がやり易かったですね。
 ギターなどの表面積が大きい物は、振動式
 を使う事が多いです。
  荒削りをしたら、後は手作業で細かい所を
 削り落して行きます。
  この時、いろいろな大きさの「あて木」を使い
 ます。必要な時は、その場で作りながら・・・
  塗装を落とし終えて、表面を仕上げたら「下塗り」
 を、行ないます。この時、縁取りの「セル」の部分には
 マスキングをしています。

  この時は、塗り直しと同時に、表板を削り直しました。
 私の持っていた「KASUGA KM1000」は、77年製
 位だったのですが、その当時のカスガ・マンドリンは
 表板が分厚過ぎると思っていたのです。ですから、そ
 れの修正を兼ねての塗り直しだったのです。
 
  全体に下地色を塗り込みました。
 この時は、固くて短めのブラシの様な刷毛でぬり込み
 ました。

  側板の一部に、下地が出ている所が・・・カタログで
 は、「オール・単板」だったはずが・・・「予告なく変更す
 ことが・・・」って、言うやつですね?
  いよいよ着色です。この当時は、「ピースコン(エアブ
 ラシ)」を、「缶」で使っていました。贅沢な?
  実は、まだコンプレッサーを持っていなかったのです
 。今は、勿論のことコンプレッサーを使いますが・・・
 
  色付けを、行なっている途中なのですが・・・
 これが、結構面白いのです。
  最終的には、仕上げのクリアーラッカーを塗る
 のですが、そうすると色合いが変わるのです。
  ですから、それを予想しながら色付けを行ない
 ます。
 
  また、マンドリンは表板がスプルース(針葉樹)で、
 裏・側板がメイプル(落葉樹)なので、木質が違います
 。ですから、上からクリアー塗装をすると、少し色合い
 が、違って見えます。
  その辺の事も、考えに入れながら色付けを行なわな
 ければなりません。
  色付けが終わったら、上塗りのクリアー塗装です。

  この楽器では、プラモデル用のクリア・ラッカー(田宮
 カラーが、お気に入りです)を使いました。
  楽器用以外の塗料を使う事を、悪く言う方は多いで
 すが・・・私は、良しとしています。要は、木材の保護が
 一番の目的ですから、その目的が達する事が出来た
 ら、何でも良いと思います。
  私の修理は、「何時でも、何処でも手に入れられる
 材料を使う」ことを、基本にしています。
 
  何度も「塗っては、磨き」を繰り返します。

 と、言っても・・・私がプラモデル用のスプレー塗料を使
 うのは、粒子が非常に細かくて「吹きっぱなし」ででも
 使えるからなのです。そこが利点ですね。
 ただし、対候性は悪いですが・・・あ、勿論ヴァイオリン
 には使いません。使っている塗料自体が違いますから
 。

  エンド・ピンの穴に、棒を差し込んでいます。
 これは、塗装する時に持ち易いようにです。ヴァイオリ
 ンの塗装では、良く使う方法です。
  仕上がったら、こんな感じです。

 良い雰囲気でしょ?
  表板を削り直したので、ブリッジを合わせます。
 
 表板のブリッジが当たるあたりに、サンドペーパーを
 ひいて、その上でブリッジを前後に動かしてブリッジ
 の足を、表板の表面に合わせて行きます。
 こんなもんかな?

 まだ、端の方が浮いてますね・・・
 もう少しですね?

 ここの仕上がり具合で、音が変わります!
  出来あがったら、弦を張って仕上がりです。
  ペグ・ヘッドには、「Tokai」と入れてみました。
  この時、指板を幅を広くする細工をしていました。
 このモデルの頃のカスガ・マンドリンは、指板の幅が
 非常に狭くて弾き難かったのです。

  指板のポジション・マークは、「スロッテッド・スクウェ
 アー」にしました。
  何となくです・・・ハイ。
  まあまあ綺麗に出来ましたかね?

 自分の楽器なので、手抜き箇所も多いですが・・・
  指板を幅広くしたので、だいぶ弾き易くなりました。
  綺麗になって?
 
 表板を削ったので、ガラリと音も変わりました。
  大変に気に入って弾いていたのですが・・・

 なんと、この楽器は・・・その後、非常に不幸な事故に遭って
 しまい・・・今現在は、壊れたままになっております。

  いつか治そうとは、思っているのですが・・・

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