Guarneri Model 1

 Guarneri(ガルネリ) モデルです。

 ガルネリと言っても、実はたくさん有るのです!

  ガルネリと言うのは一族の名前でして、その当時は一族総出で同じ
 仕事を行なっていた所はたくさんあったのです。
  有名なストラディバリも一族名なのです。しかし、ストラディバリは、
 高名な「アントニオ」だけが特に有名(息子のフランシスコも有名ですが
 ・・・晩年のアントニオの作品は、大部分はフランシスコの作では?
 とも言われているそうです?)なので、一人だけの様に思われています
 が・・・ガルネリ一族には有名な製作家が何人もいるのです!

 その中でも特に有名なのが、アントニオ・ストラディバリと並び称される
・・・Giuseppe Bartlomeo Guarneri (ジュゼッペ・バルトロメオ・ガルネリ)
  通称 del Gesu (デル・ジェス) です。
 デル・ジェスとは、神の・・・と言う意味です。

 これは、彼のラベルには十字架のマークが入っていた事と、彼の作品
 の素晴らしさから・・・通称として使われているのです。
  このヴァイオリンは、デル・ジェスのコピーらしいのですが・・・私には
 良く判りません?

  インターネットで画像をいろいろと調べてみても、彼の作品には変化
 が多くて・・・どれのコピーか判りません?

  確かに、表板の「F字孔」(サウンドホール)の形は・・・彼の特徴で
 ある縦長のものですが・・・どうなのですかね?
  非常にお気に入りの楽器でして・・・以前のメイン楽器でした!

 おそらくは、中国製の近年の作品んでしょうが・・・見た目が非常に
 綺麗で、音も大きく、音質も私好みの物でしたが・・・

  少しだけ、問題が・・・?
  裏板は、非常に綺麗な一枚板です!

  非常に私好みの音で気に行っていたのですが・・・

 ハイポジションで弾くと・・・どうにも音程が取り難い・・・のです?

 私の技術が未熟なのは判っておりますが・・・それにしても、おかしい?

 試しに・・・この楽器の各部をノギスで測ってみたのですが・・・すると・・
 ・・・なんと、非常に特徴的な所があったのです!
  ヴァイオリンは非常に完成された楽器です!その構造は、スト
 ラディバリの時代にボディー部分は、ほぼ完成されております!
 ですから、ヴァイオリンの大きさは、ほとんど同じと言える程度の
 違いしかないのです。特にボディー部分は、直接に音に関係して
 くるので・・・大きな差が生じないのが普通です。(型枠を使って
 製作されるので、同じ製作家の作品は、大きさ的にはほとんど
 同じ物が出来上がるのが普通です。) しかし・・・このヴァイオリ
 ンは・・・少し小さいのです!標準的なヴァイオリンは、ボディー
 長が355mmぐらい、なのですが・・・このヴァイオリンは352
 mmです。 
  ま〜、このボディー長は・・・そう問題ではないのですが・・・問題
 なのは、「ストップ長」なのです! ストップ長とは、ボディーの上
 の端からブリッジ(駒)の位置までの長さなのですが、今現在の
 ヴァイオリンの標準は195mmなのです。現在製作されている
 ヴァイオリンは、ほとんど間違いなく195mmで製作されている
 のですが・・・このヴァイオリンのストップ長は『191mm』しか
 ないのです!! 弦長自体も、標準の328mmに対して、322
 mmしか有りません!

  これだけ差が有ると・・・ギターの様に「フレット」が有るわけではないので・・・音程を取るのが難しくなります
 ヴァイオリンの音程は、左手の構えの形で正確さを出してゆくものなので・・・弦長が変わると、非常に難しく
 なります。
  かの有名な「五島みどり」が、子供の時にオーケストラとのコンサートで演奏中に弦が切れてしまい、咄嗟に
 コンサートマスターのヴァイオリンを使って演奏を続けたそうなのですが・・・その当時の彼女は、まだ体が
 小さくて・・・3/4サイズのヴァイオリン(大人用は4/4サイズ)を使っていたそうなのですが、当然・・コンサート
 マスターのヴァイオリンは大人用の4/4サイズです!全長で5cmは長くなる4/4サイズのヴァイオリンに持ち
 替えても、素晴らしい演奏を続けた事が大きな話題となり、後に学校の教科書に載ったエピソードが有るぐら
 いに、弦長の変化は演奏に大きく影響するものなのです!
  ま〜、このヴァイオリンだけを弾いていれば、慣れてしまうので問題ないと言えば、問題ないのですが・・・
 いろいろな楽器を弾く機会が多い私としましては・・・結構つらいものがありました。

  それでは、何故にこの様な中途半端なサイズのヴァイオリンが、最近の作品の中に有るのか?

  おそらくは・・・この楽器を製作したヴァイオリン職人は、発注者が示した「お手本」となる古いイタリア製の
 ヴァイオリンを、なんの疑いも無く・・・隅から隅まで正確に『コピー』(寸法も含めて)したのでしょう?(実際に
 ガルネリのヴァイオリンは、小さなサイズの物が多かったらしいです?)
  ですから、このヴァイオリンを製作した職人は・・・完璧なコピーを目指していた素晴らしい職人か?(有名な
 ヴァイオリンを、色形は勿論、「傷」さえもコピーする職人もおられます。)技術はあるが、ヴァイオリンに対し
 ての知識が「無い」か?の、どちらかでは?と・・・私は考えております。

  一時期の「中国製」には、後者が多くありました様に思います?
 ですから、非常に優秀なヴァイオリンが非常に安いお値段で、手に入れる事が出来たのですが・・・
 最近は、その様な「掘り出し物」的な物が無くなり、全体が安定した物が多くなった半面、面白みが無くなった
 のも事実ですね?

 でも、このヴァイオリンは私のお気に入りの楽器ですので、いつでも演奏出来る状態で手元にあります。

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