ギアチェンジのポイント (バイク編)

 
 前回でギアチェンジのタイミングを考えてみましたが、今回は実践編です!

バイクの運転ではギアを変えながら運転するのが、醍醐味の一つと言えると、私は考えますが・・・
 これが・・・なかなか・・・難しいところがありまして! うちの教習所でも、悪戦苦闘されている方が多いかと思われます?
 でも・・・慣れている人がやれば、簡単に変えられるのです! では、何故なのでしょう?

 まずは、バイクの変速ギアの実物を見ていただきましょう! (私のバイクのギアです。)

これが、バイクのギアです!
6速ギアの本物です。
実は、バイクのギア(4輪車も同じ)は、基本的に2つで一組となっているのです。
 そして、すべてのギアが常に噛み合って動いています。(常時噛み合式と言います)
横から見たら・・・こんな感じです!
この状態は・・・右側がエンジン側で、
          左側がタイヤ側ですね。

 こんな感じで、すべてのギアが常に噛み合って動いているのですが・・・・それでは、どうやってギアチェンジするのでしょうか?
 
 それは・・・シャフト(真ん中の軸)に固定されているギアと、可動式になっているギアがあって、可動式のギアを動かす事によってギアチェンジしているのです。

手前側の右から3番目と4番目のギアの位置を、よく見てください。
 右側に寄っていますが・・・
今度は、左側に寄っているのが解りますか?

 こんな感じで、横方向へスライドさせることによってギアチェンジするのです。

 この様に、噛み合ったままのギアを横方向にスライドさせるわけですから、ギアに対してのエンジン側、そしてタイヤ側からの圧力を上手くコントロールしなければ・・・ギアチェンジしにくいと言う事が、お解りいただけるでしょうか?

 それでは、どの様にギアに圧力がかかっているのでしょうか?

 この様に、加速状態の時はエンジン側のギアが、タイヤ側のギアを押し付けている状態ですので、赤い矢印の方向へ強く押さえつけている状態です。この圧力を、上手く抜いてやらないと・・・圧力がかかったままの状態では、ギアは変えることができません!

 それでは、どうやって・・・この圧力を抜くのか?

 基本は、クラッチレバーを握って、エンジン側の力を遮断する事によって、圧力を抜くのですが・・・残念ながら、バイクのクラッチは・・・レバーを完全に握っても、完全には切れないのです!必ず、引き摺ります。これは、バイクのクラッチの構造上の理由ですので・・・ある意味で、「仕方ありません」
 でも・・・バイクに慣れた人がやると、簡単にギアチェンジします。 何故なのか?

 今度は、減速状態になった時のギアの動きを、考えてみましょう!

 減速状態になると、回転の方向は同じなのですが・・・力が、タイヤ側からかかりますので、ギアに対しての圧力がかかる面が、逆になるのです。 赤い矢印の面を、よく見てみてください!

 ですから、加速状態だろうが、減速状態だろうが、ギアに対しては強く圧力がかかっているのです!
 しかし・・・ここで良く考えてみてください!!

 アクセル操作をする時・・・加速と減速が切り替わる瞬間と言うタイミングがあるのです!!!

 上の図の様な瞬間があるのです!

 エンジン側、タイヤ側のどちらからの圧力もかからないタイミングがあるのです!

 バイク操作に慣れているライダーは、この瞬間を使っているのです!
ですから、バイクに慣れているライダーが操作する時は、必ず「ブォン、ブォン」とアクセルをあおっているでしょ?あの、アクセルをあおる事が・・・このタイミングを作りだしているのです!

 と・・・・言う事は・・・この特性を使えば、ギアチェンジをする時も、「クラッチを使わなくても、ギアチェンジ出来る!」と言う事なのです! 実際に、慣れているライダーはクラッチ操作をしないで、ギアチェンジをしている事が多いのです。また、使うとしても「ほんの一瞬」だけで、ほとんどタイミングを計るため位にしか使っていない事が多いのです。この方が、時間的な無駄が少ないので、スムーズなギアチェンジが出来るのです(バイクのエンジンは、総じて『高回転型』なので、アクセル操作に対しての反応が速いので、無駄な時間は出来るだけ作らない方が良いのです)。ただし、排気量が大きなバイク(大型バイク)は、エンジンパワーが大きく、ギアに対しての「面圧」が大きいので、クラッチを使った方が良い場合が多いし、また、排気量が小さなバイク(ミニバイク)などは、エンジンパワーが小さいので、かえってパワーロスする事があるし、半クラッチを使ってパワーを補ってやった方が良い結果が得られることもあります。

 でも・・・この操作は下手をすると・・・バイクのギアに大きなダメージを与える危険性が有ります!

 ま〜、「そのバイクに応じた操作」が基本ですが・・・それを見極めるのが大切です!

でも、それが難しいのですよね? その辺は、ベテランの「技」を盗んでください。
それが一番です! このあたりの操作は、「慣れ」の領域ですので・・・教えられるものではないのです。 ですから・・・私は、教習の中でもよく言います。

 「物や、お金は盗んではいけないけれど、技は盗まないとダメですよ!」


それでは、実際の「ギアチェンジ」の動画がありますので参考にしてください。
アクセルを吹かすタイミングとギアを操作するタイミングのコンビネーションを良く注意してみてください!


 皆さんも、教習の中では「技ドロボー」になってください!

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