ギアチェンジ(変速操作)
さて今回は「ギアチェンジ」です!
MT車の運転操作の中で、難しいものの一つです。
ですが・・・これが「おもしろい」とも言えます!そう、思えれば上達は早いのです!!
そもそも何故に「ギアチェンジ」が必要なのか??
まずは・・・エンジンの回転数を示すメーター、「回転計」(レブカウンターともタコメーターとも言います)を画像でみてください。
これが「回転計」です。 0〜8000まで示す事が出来るメーターです。 単位は、1分間に1000回転ですから、この画像では、約800回転でエンジンは回っています。これが、アクセルペダルを踏まない「アイドリング」状態です。 |
エンジンは燃料の「燃える力」を使いますから、回転数「0」から使うことは出来ないのです!(ちなみに「電気のモーター」は、「0」から力を使う事が出来るのです)
この車のエンジンは、およそ800回転から使う事が出来ると言う事ですが・・・上の方の回転数を示すメモリが「赤」で示してあります!この部分を「レッドゾーン」と言います。
この「レッドゾーン」と言う部分は・・・「これ以上エンジンの回転数を多くすると、エンジンが壊れますよ!」と言うところを示す部分なのです。ですから、このエンジンは800回転から6000回転の間で使う事が出来ると言う事です。
さて・・・このエンジンの回転数とは、何を示してくれているのか?
それは、「同一時間の中でのエンジンの仕事量」・・・つまりは、エンジンの出力を示しているのです。当然、回転数が多い時の方が大きな力が出ています。
では、この回転計からみると6000回転が「最高出力」か・・・?と言うと・・・そうではないことが多いのです。最高出力は最高回転数の少し手前で出るようになっているエンジンがほとんどです。
このエンジンでは、おそらく・・・5000回転から5500回転位でしょう?たぶん?それ以上になると「頭打ち」状態になります。
そして、一番モリモリと力が出始めるのは?おそらく3000回転以上でしょう?たぶん?
それでは、それを簡単なグラフにしてみましょう!
こんな感じですかね?ま〜今回は説明ですので・・・こう、としておきましょう!?
とりあえず、一番下の回転数を判り易く「1000」回転にしておきます。
エンジンは、アクセルペダルを離した時は必ず一番下の回転数つまりは、「アイドリング」状態に戻ろうとします。そして、エンジンの回転数が多くなるにつれてアクセルペダルに対しての反応が強く早くなります。回転数が多くなれば多くなるほどに、少し踏めば「ビュ〜」と加速するし、離せば一気に減速します。逆に回転数が少なくなれば、アクセルペダルに対しての反応は弱く穏やかになります。こう言う傾向がエンジンの特性として、あります。
ただし、この1000回転から5000回転の間だけで、発進から高速道路までこなせるほどの幅広い領域で力が出せるほど、自動車のエンジンは力強くはありません!
(新幹線のモーターは、発進から時速300kmまでモーターだけでカバー出来ます!凄い!!)
そこで・・・自動車は「ギア」をいくつか使うことによって、いろいろな速度領域をカバーしているのです。 低速用、中速用、高速用と、言う感じで・・・。 それを、図にしてみます。
こんな感じですかね? ただし、これはあくまで「架空」の設定です。説明用と言う事です・・・。
各ギアで、一番の低回転の「1000回転」から、一番の高回転の「5000回転」までを使った場合です。
ここで、注目していただきたいのは・・・少しづつ受け持ち速度が、重なっていることです。
完全に各ギアで、受け持ち速度が分かれてしまうと・・・・実は・・・非常に使い難くなってしまうのです。ですから、各ギアで受け持ち速度が重なっている部分が有るのですが・・・ここが重要なのです!
違うギアでも同じ速度が出せるのですが・・・その時は、ギア比の設定上・・・エンジンの回転数が違ってくるのです・・・。
こんな、感じですかね?
ここで、注目していただきたいのは・・・違うギアで同じ速度を出した時のエンジンの回転数です!
一番の高速用のサードギアで時速20kmの時は、エンジンの回転数は「1000回転」位ですが・・・セカンドギアの場合は「2000回転」位で・・・ローギアの場合は「4000回転」位になります。
これを、先ほどの「エンジンの出力曲線」に当てはめて考えると? サードギアで時速20kmを出すと、エンジンの力の出方は・・・穏やかで、扱い易いかもしれませんが・・・力強い加速力は望めません。反対に、ローギアで時速20kmを出すと・・・強力な加速力は有りますが、反応が強くて「ギクシャク」し易く、扱いづらい面が出てきます。そして、その上の速度への「伸びしろ」が、あまり有りません。中間のセカンドギアなら・・・程よく力も出て、扱い易いかもしれません?
こんな感じです。この特性を考慮して・・・その時の動かし方に応じたギアを選ぶ必要があるのです!力が必要な時は、低速寄りのギアを・・・力が必要で無い時は、高速寄りのギアを・・・
ですから・・・「ギアチェンジは速度を出したり、落としたりする為」では、ないのです!
速度を上げないでギアだけを高速用に変えると・・・エンジンの回転数が少なくなり力の出ていないところを使う事になります。つまり・・・加速できなくなります!
また・・・「速度に応じたギア」と言う、言い方を教習の中などでよく聞きますが・・・厳密に言うと・・・それも、違うのです。同じ速度でも、違うギアを使う場合があるのです。
それでは・・・何のために、ギアチェンジを行なうのか? それは・・・
「その時に必要とする、エンジンの力を上手く引き出すため」なのです。
同じ速度でも、強い力が必要な時は「低速用のギア」、強い力が必要で無い時は「高速用のギア」を選ぶべきなのです。それを、瞬時に判断するのがMT車の醍醐味です! バッチリとギアが決まった時は、非常にスムーズに動いてくれます!そして、いつでもバッチリとギアを決めようとしたら・・・これは・・・もう、「練習しかありません!」
私は、教習の中でもよく言います。「ギアチェンジとバックでのハンドル操作は、数をこなさないと出来るようにはなりません!」 その為には、練習あるのみ!右足のアクセルペダル、ブレーキペダルの操作に連動して、左足と左手が勝手に動くようにならないと・・・スムーズな操作はできません!
では、どの様にすれば出来るようになるのか?
それは・・・第一段階(場内)の練習から、常にサードギアを使うようにすることです!
私の教習では、最初の時間からサードギアを常に使って練習します。「難しいから、ある程度慣れたら使いましょうか」なんて言っている指導員は、私に言わせれば手抜きのダメ指導員です!
MT車の運転では、ギアを変えるのは「あたりまえ」! あたりまえの事は、あたりまえに出来るようにならないといけません! 特に重要なのは、「減速チェンジ」(シフトダウン)です。
ここで・・・「減速チェンジ」は、何のため? 減速させるためではありません!
(街中でよく、エンジンブレーキの音を響かせながら止まって行くバイクとかを見かけますが・・・あれは・・・私は下手くそです!と、周りに言っている様なものです! 上手い奴は、エンジンブレーキなど、ほとんど使いません!) では、減速チェンジは何のためか? それは・・・
「減速チェンジは、減速した後の次の動きに備えたギアチェンジ」なのです。
ですから、減速した後の動きによって、選ぶギアは違います。止まるのか・・・加速するのか・・・ゆっくりなのか・・・速いのか?・・・等々。
この重要な「減速チェンジ」を、練習しようと思ったら・・・「加速チェンジ」を、行なっていないと出来ません! ですから・・・サードギアを使った練習が重要なのです!
サ〜! やってみましょう!!!