CE1200M

  ブランド名   Cat’s Eyes
  製造元     東海楽器製造(株)
  製造年     1978年製
  販売価格    定価120,000円

 CE1200M 1978年製

 Old Martin D18 コンセプトモデル
 D18モデルですので、裏・側板はマホガニーです。

 1978年製ですので、おそらくは「ホンジェラス・マホガニー」

   通称「ホンマホ」ですね?(たぶん?)

  このギターは、私が在籍していた東海楽器が作った「Cat's Eyes Guitar」の中でも、最もCat's Eyesらしい
 ギターだと思います。当時の東海楽器は、非常に進んだ・・・と言うよりも「ぶっ飛んだ」?考え方を持ち合わ
 せていた会社だったと思います。

  例えば・・・今現在は、古い時代のギターを正確に再現すると言う事があたりまえの様に行なわれています
 が・・・それを、世界で真っ先にやり始めたのが東海楽器でした!「コピーの東海」と言われたぐらいです。

  しかも、1972年からアコースティック・ギターの代名詞「C・F・Martin」と技術提携していましたから、それ
 以前の経験と合わせて非常に高い生産技術を有していました。ですから、やろうと思えばMartin Guitarと
 同じ物を生産する事もできたでしょう?しかし、Martinと販売提携も結んでいましたから、それをやると販売
 上の都合が悪かったのでしょう?ですから、現行モデルのコピーではなく、Old Martinなどの非常に面白い
 モデルを市場に投入していました。

  その一つが、このCE1200M なのです!

  Martin D18は通常モデルでは、指板・ブリッジ(下駒)は、ローズ・
 ウッドが使われているのですが、(最新のMartin D18は、エボニー
 (黒檀)になりました!)このモデルは、戦前のD18の様にエボニー
 (黒檀)が使われています。
  またこの当時は、高級機種になるほど派手な飾りに
 なるのが、あたりまえの時代だったのですが・・・CE
 1200Mは、18スタイルの黒色の縁飾りです。安物の
 国産品しか知らない人には、最低級品と同じにしか
 見えないかもしれませんが・・・知っている人が見ると、
 「オ〜、凄いぞこいつは!」となるギターだったのです。
  この当時は、まだ「マホガニー」は低級品で、「ローズ
 が高級品という観念が一般的だったのです。

  しかし、Cat’s Eyes(東海楽器)は、そんな考えを
 捨てて、各材料にはそれぞれの「音のキャラクター」が
 あると言う事を打ち出していたのです!

  今では、あたりまえになっていますがね?
  ペグ(糸巻き)は、オリジナルではありません。

 元々は、グローバー(C102)が付いていたのですが、東海楽器が
 糸巻きメーカーの「ゴトー」と共同で開発した、「クルーソン・デラックス」
 のコピーモデルに変えています。

  この「クルーソン・デラックス」のコピーモデルも、ギター好きを「あっ!」
 と、言わせた物でした!

 私のCE1200Mは、もう一つオリジナルとは大きく違うところがあります。

 それは、塗装を「ラッカー塗装」に塗り直しているのです。

  これが、その作業中の画像です。

 ピックガードやブリッジを一旦外してしまい、
 塗り直しました
 
 画像に映っている、「振動式サンダー」等を使い、
細心の注意を払いながら塗装を剥ぎ取って行きました。
  マホガニー材の所は、ステインで着色しました。

  そして、ラッカーを刷毛塗りで仕上げました。非常に
 手間の掛かる作業でして・・・塗っては、乾燥そして磨き
 ・・・を何度も何度も繰り返して仕上げました。

  何故にこんな手間の掛かる事をやったのか?

 この当時の国産楽器メーカーは、ギターブームとかもあって非常に大量のギターを生産していました。

  ですから、生産性を上げる為に「ラッカー塗装」は使わずにポリ・ウレタンやポリ・エステル等の「化学塗料」
 を使っていました。「ラッカー塗装」の場合は、綺麗に仕上げる為には10数回の重ね塗りが必要なのですが、
 「化学塗料」なら極端な場合は一回で仕上げる事が出来ます。

  ですが、「化学塗料」は生産性は良いのですが・・・「ラッカー塗装」よりも、分厚く固く仕上がってしまう傾向
 があります。ですから、木材が本来持っている「響き」を抑え込んでしまう事が考えられるのです。それを、
 解放して本来の「響き」、「鳴り」を取り戻すために塗り直したのです。

  大変な手間を掛けたおかげで、輝く様な「色」と「音」を
  放つようになりました!
 ネックは、外さずに塗り直しました。

 ネックを外すかどうかを迷ったのですが・・・

 ネックの「反り」などは、特に問題が無かったので、
 そのままで行きました。
 ネックは、今回は艶消し塗装にしてみました。
  私のCE1200Mは、元々はダークな色合いで渋かったのですが
 塗り直したおかげで非常に明るく綺麗な色合いになったと
 思っています。

  そして、御覧の通りヘッド・インレイが非常に綺麗にみる事が
 出来るようになりました!!!

  このギターの音は、本当に「マホガニー」らしい音がします。

  それから、だいぶ以前に・・・Martin D18の「オールド・モデル」と、シーガル・ギター(塩崎さんのやつ)の
 オールドD18モデルと、このCE1200Mを弾き比べてみたのですが・・・同じ「材料仕様」だったのですが、
 それぞれの「音のキャラクター」が違っていて面白かったですね!

  私には・・・やはり、CE1200Mが・・・一番でしたがね!

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