Bluegrass(ブルーグラス)
 そして、Banjo(バンジョー)との出会い


  さて前回の「ギターとの出会い」の中で、ブルーグラスとの出会いを書きましたが・・・
 今回は、それも含めて・・・

  最初に購入したのが12弦ギターだったのですが・・・弾いているうちに、いろいろと不都合な所も感じる様に
 なってきたのですが(チューニングし難い、弦が切れやすいネック幅が広くて弾き難い等々)・・・
  もう一本買えるほど、お金は無いし・・・じゃ〜作ろう!(これは我が家の伝統的な考え方です)

  それで、適当な材料を集めて作り始めたのです。その作業中の事です。時は12月、時間は夜11時を過ぎ
 ていました。関西では、10chのテレビです。 番組名は『11pm』でした。

  エッチな番組の代名詞みたいになっていましたが・・・その日の特集は、「カントリー音楽」だったのです
 ギター工作をしながらカントリー特集をみていましたが、出てくるミュージシャンは・・・ジミー時田、宮前ユキ、
 尾崎紀世彦、などの日本のカントリー・ミュージシャンばかりだったので・・・「なんか違うな〜?これじゃない
 んやけれどな〜」と、思いながら見ていました。唯一、それらしく聞こえたのが・・・「ジャンバラヤ」の中で弾か
 れた、飯塚文雄のフィドル・ソロだけでした。(私が「ジャンバラヤ」のソロを取る時は、その時のフレーズを今
 でも使っています。)

  ところが、番組の後半になると状況が一変しました。

  スタジオの中でのライブ演奏みたいな番組だったのですが、大きな歓声と共に・・・あるバンドが入って来た
 のでした。 バンドの面々は、エレキギターなどではなく・・・生楽器のヴァイオリン、ギター、ベース、そして・・・
 「丸い形の楽器」、そして小さな楽器でした。

  そして、演奏され始めたのは・・・まぎれもない・・・あの時の、ラジオから流れてきた音楽と同じです!!
 「ちょっとだけ、違うけれど・・・同じ種類の音楽だ!」と、思いました。 急いで、新聞のテレビ欄と司会者の言
 葉をチェックすると・・・どうも、『ブルーグラス』と言う音楽らしい? そして、ミュージシャンは・・・

  『Bill Monroe(ビル・モンロー)』と言う人らしい?   これが、私の「ブルーグラス」との出会いです!

  そうなのです! たまたまの偶然だったのですが・・・私が、最初に耳にしたブルーグラスは『フラット&スク
 ラッグス』であり、最初に目にしたブルーグラスは『ビル・モンロー』だったのです。
  完璧な『王道』から、ブルーグラスへ入っているのです! 単なる偶然ですが・・・ただ、こう言うところから入
 ってしまったが為に、『スタンレー・ブラザーズ』の良さが、もう一つ良く解らないのです?今でもですね?

  さて、話を元に戻して・・・そのテレビ番組の中で、演奏されたのは3曲。勿論、その時は曲名などは知る由
 も無かったですが・・・『アンクル・ペン』、『ケンタッキー・マンドリン』、『ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー』の
 3曲でした。下の動画?が、実際のその時の音です。テレビからテープレコーダーで、直接録音です。

これが、その時の演奏そのものです!!

 メンバーは、Bill Monroe(マンドリン) Kenny Baker(フィドル) Bob Black(バンジョー) 
            Ralph Lewis(ギター) Randy Davis(ベース) ライン録音ではありません。

  感動の再会?でしたが・・・「あの曲が、入ってない?」と、思いました。しかし、「ブルーグラス」と「ビル・モン
 ロー」と言う名称が判っただけでも進歩です。その日から、毎日のようにテレビ欄をチェックしていると・・・
 発見しました!今度は、NHKです。 早速チェックです。この時も、何曲か演奏されたのですが・・・

  有りました! 今回は、お目当ての曲が演奏されました! 最初にラジオで聞いた時に、一番印象に残った
 曲です! しかし・・・この時は、曲名がわからなかったのです? さ〜それからは、レコードで探しました。
  ジャンル名と、楽器名は分かっています。後は、探すだけです。・・・しかし、どうやって?

  レコード店で、手当たりしだいで探しました。私の住む、兵庫県宝塚市の逆瀬川と言う所の駅前に、「宝塚レ
 コード」という店があったのですが(残念ながら、今はもうありません)、そこには何と「ブルーグラス」のコーナ
 −が有ったのです!そのお店で、「これならどうだ?」という物を買ってみたのです。

  まず最初に買ったのは、あの丸くて面白い音がする楽器『バンジョー』が、ジャケットに写っているアルバム
 しかもバンジョーを持っている人が二人も写っているやつを買いました。後にわかったのですが、このアルバ
 ムは、「ドン・レノ」と「エディー・アドコック」が作った「世の中で最もうるさい」と言われるツイン・バンジョーのア
 ルバムだったのです。ですから、当然の事として、お目当ての曲は入っていませんでした。

  次に買ったのは、「ビル・モンロー」のアルバムでした。この中にも、お目当ての曲は入っていなかったので
 すが、似た感じの曲はありました。その曲は、「Bluegrass Breakdown」でした。これも、後で判ったのですが
 このアルバムはコロンビア時代の録音で、バンジョーを弾いていたのは「アール・スクラッグス」・・・つまり、お
 目当ての曲を弾いていた人、本人であり、二つの曲の出だしの部分は、同じフレーズだったのです。

  そして、3枚目に買ったのが大当たりでした!表紙は、何も写っていない?ただ「芝生」が写っているだけの
 表紙でした。これも後で解った事なのですが、この「芝生」こそが『Bluegrass(ブルーグラス)』だったのです
  その中に入っていました!・・・曲名は、『Foggy Mountain Breakdown(フォーギー・マウンテン・ブレイクダウ
 ン』だったのです!バンジョー・インスト(器楽曲・つまり歌無しです。)の代名詞であり、最も有名な曲です。

 しかも、私が買ったアルバムは、「マーキュリー録音」のアルバムです。フラット&スクラッグスの、最も初期の
 録音であり、最も素晴らしい「フォーギー・マウンテン・ブレイクダウン」が録音されているアルバムだったので
 す。超有名曲ですから、その後に数多くのプレーヤーがカバー録音していますが、このオリジナル録音を超
 えるものを私は未だに聞いたことがないです。アール・スクラッグス自身もその後に何度も録音していますが
 本人ででも最初の録音よりも良いものは無いように思います。

オリジナルのFoggy Mountain Breakdownです このオリジナル録音が、最高なのです! テクニック的には、現在のプレーヤーの方が高度な演奏
 をしている方も多いかと思われますが・・・音楽はテクニックだけではないのです。特に、この曲は
 独特の緊迫感があるのです。また、その緊迫感こそが、この曲の重要な所なのです。それが無いと
 ダラ〜とした演奏になってしまいます。

  こうして私はバンジョーと巡り合ったのですが・・・そうすると、「自分で弾いてみたい!」と、当然の
 様に思うようになりました。そして、高校生になると同時にバンジョーを購入しました。

  最初に購入したバンジョーは、大阪心斎橋の「三木楽器」で購入しました。まだ、バンジョーが何処 で売られているかを知らなかったので、いろいろな楽器店を見て回って最初に見つけたのが「三木  楽器」だったのです。
  「ピアレス」のバンジョーで、定価が3万円少し位でした。「高いな〜」と思いながら購入した覚えが  有ります。

  その後、練習に励みましたが・・・なかなか上達せずにいました。どの様に弾くのかは、教則本を何 冊か買って覚えて行きましたが・・・良い教則本が無くて・・・・最初に買ったのは、ジェリー対中さん、 次が東 理夫さんの物でしたが・・・「何かちがうな〜?」と思っていました。

  そんなある日・・・バンジョーの弦を買おうと行った、「梅田ナカイ楽器」(この頃は、梅田ナカイ楽器 という存在を覚えていました!)で、運命的な出会いがありました!

  なんと、『アール・スクラッグス』の教則本が有るではありませんか!茶色の表紙ですから、「英国  版」と言うやつです。(当然、その当時はオリジナル版、英国版の違いは知りませんでしたが・・・)速 攻で購入・・・したかったのですが、所持金が足りない?急いで宝塚(清荒神)へ戻り、お金を持って 直ぐに(帰った時の電車そのものに乗って』大阪梅田へとんぼ返りしました。

  そして、その日から猛練習です。「フォーギー・マウンテン・ブレイクダウン」を始め、スクラッグス・チ ューンの多くが掲載されていましたので、一気に上達して行きました。ある程度、弾き方の要領が解 ると、自分自身でレコードから音をとれる、「コピー」出来るようにもなりました。 毎日、面白かったで すね!

  スクラッグスの教則本には、後の方のページで「バンジョーの作り方」みたいなページがあるので すが・・・それらの写真を見ると・・・「どうも自分のバンジョーとは、構造が違うぞ?」と、思えたのです。
  「そう言えば、レコードのバンジョーとは音も全然違うしな〜?」と、思うようになったのです。

  これが、より高度な(高級な)楽器へと、目を向けさせることになって行ったのです。

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