Bluegrass Music 2

 さて・・・その、とんでもない人とは・・・?

 King of Rock’n Roll こと、Elvis Presley(エルビス・プレスリー)だったのです!

 彼は、ミシシッピー州で生まれ、テネシー州メンフィスへ移り住んでいたので、幼い時にブルーグラス音楽を聞いて育ったようなのです?
 そして、54年にレコード・デビューを果たしたのですが・・・その、最初のシングル・レコード「That's All Right」のB面が、「Blue Moon of Kentucky」・・・つまり、ビル・モンローの代表曲を選んでいたのです!
原曲からは、かなり違う曲になっています!


 しかし・・・これが、皮肉にもビル・モンローの「Bluegrass Music」を、窮地に追い込んで行く事になるのです?

 と・・・言うのは、この時期から多くの聴衆に対して大きな音で、音楽を届ける為に「音楽の電気化」が進んで行ったのですが・・・伝統的な「アコースティック音楽」であるブルーグラスは、この時代の潮流に上手く適応出来なかったと言えるのです?
 
 ほとんどのブルーグラス・ミュージシャンが、「フルタイムのプロ」としては、生活が出来ない様な状況になって行きました。音楽で生活が出来るのは、極一部のミュージシャンだけで・・・ほとんどは、「パートタイム」のミュージシャンのようでした。
 頑固な?ビル・モンローですら?エレキギターやドラムを入れた録音をせざる負えない状況でした。(しかし、後年にエルビスはビル・モンローに対して「あなたの曲を変えてしまって申し訳ありません」と詫びを言い、それに対してビル・モンローは「君の音楽に、それが必要なら、私は全面的にそれを支持するよ」と言ったそうです。)

 この様な不遇な時代があったのですが・・・幸いにして、60年代の、「フォークリバイバル」によって、一部のミュージシャンが注目を集めるようになった。(この時も、一番に注目されたのは・・・商業的に一番成功していた、フラット&スクラッグスであった?) それらの、注目されたミュージシャンから音楽の出所を遡って『ビル・モンローのブルーグラス・ボーイズ』が注目されるようになった、と言うことらしい?

 そして、70年代以降に再び「Bluegrass Music」が隆盛することになるのです。

日本でも、その頃は非常にブルーグラスが盛んになり、特に大学生に大いに支持される事となって、全国の各大学には必ずと言って良いほど「ブルーグラス音楽」を演奏するバンド、サークルがありました!
 私も、その頃にブルーグラス音楽と知り合い演奏を始めました。

 ビル・モンロー自身も74年から5回ほど来日しています。
私も、見に行きました!(本人からサインももらいました!!)

 音楽的には、非常にアップテンポで「早や弾き」の曲が多く、演奏技術的にも面白い所が多いのですが・・・歌われている歌詞は・・・とんでもない内容のものも多いのです?
(くだらない内容のものも多いですね?)

 ほとんど「演歌」の世界ですかね?(と、言うと演歌好きの方には申し訳ないですが・・・)

ところで・・・エルビス・プレスリーの「Blue Moon・・・」の元歌の、Bill Monroeの「Blue Moon・・・」は・・・


 と、言う感じで元々は3拍子のワルツだったのですが・・・エルビスのロックンロールの影響で・・・後半の部分をアップテンポな曲にしたのです!

 このあたりが、ビル・モンローの凄い所でして・・・自分自身の代表曲であったとしても、必要とあらば・・・平気で変更してしまうと言う様な柔軟なところも持ち合わせていた方なのです!

 自分自身のバンド、「Blue Grass Boys」も長い年月の間に数多くのメンバーが出入りしていたのですが・・・その時々のメンバーの持ち味を生かして、トラディショナルになったりモダンになったりと変化が多いバンドでした?傾向的にみると、「突拍子もない、ぶっ飛んだ感覚の持ち主」の演奏が特に好きだったのでは?と、思われる所があります。

 ま〜こんな感じで、今回は「ブルーグラス音楽の創始者」である、『ビル・モンロー』を簡単に紹介してみましたが・・・最後に私が一番好きな、ブルーグラスの曲をあげておきます!

 曲名は、「Uncle Pen」と言って、ビル・モンローの伯父にあたる人を歌った曲です。

私は、「ブルーグラス音楽」を紹介する時に必ず使う曲です!ブルーグラス音楽の特徴をハッキリとあらわしているように思えるのです?
 スピード感、ドライブ感、緊張と緩和、各楽器のソロ、コーラス・・・正規の音楽?(そんなものがあるのか?)からすると、少しおかしい所・・・途中に、普通で考えたら・・・拍数が足りない所があります! それら、すべてが『ブルーグラス』なのです!!!

もどる